読書メモ④
白昼夢の中、私は時間も空間も超えて、誰かの眼になり皮膚になる。それは恐ろしく不思議で興奮すべき体験であって、これだけは誰にも邪魔されたくないし奪われたくもない。そうなると私の肉体はそろそろ不要であって、私はただずっとこのまま、いつかの何処かの誰かの人生の首筋に後ろから抱きついて、知らない時間を覗き見しながら残りの時間を過ごしたいだけなのだと気付く。
―「抱かれてるのは確かに俺だが…するってぇと抱いてる俺はいったい誰なんだろう?」
【期間:2021/02/15~2021/02/28】
①『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』辺見じゅん(文春文庫・1992)
②『廃疾かかえて』西村賢太(新潮文庫・2011)
③『八日目の蝉』角田光代(中公文庫・2011)
④『いつかの人質』芦沢央(角川文庫・2018)
⑤『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』丸山正樹(文春文庫・2015)
⑥『草薙の剣』橋本治(新潮文庫・2021)
⑦『日本のいちばん長い日 決定版』半藤一利(文春文庫・2006)
⑧『明治天皇(一)』ドナルド・キーン 訳・角地幸男(新潮文庫・2007)
⑨『彰義隊』吉村昭(新潮文庫・2009)
⑩『死顔』吉村昭(新潮文庫・2009)
⑪『冷い夏、熱い夏』吉村昭(新潮文庫・1991)
⑫『悪人』吉田修一(朝日新聞社・2007)
①―私を生きなければ。私の大事なものの為に、書かなければ。
③―とてもよかった。優れた小説だと思った。
⑥―この人はもういないのだ。
⑦―追悼。
⑨―こんど上野へ散歩に行くときには、この本を持って行く。
⑪―すべての人物に自身を置いた。自分事として読まない頁は、唯の一頁も無かった。
⑫―よい。読みごたえのある群像劇。
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