読書メモ(25)

【期間:2022/01/01〜2022/01/15】
①『〈反延命〉主義の時代ー安楽死・透析中止・トリアージ』編著者:小松美彦・市野川容孝・堀江宗正(現代書館・2021)
②『[増補新装版]障害者殺しの思想』横田弘(現代書館・2015)
③『やまゆり園事件』神奈川新聞取材班(幻冬舎・2020)

①ー「近年の日本では、「延命」という言葉が否定的な意味で使われることが多くなった。「延命」は医学の当為だが、それに異を唱える潮流が〈反延命〉主義として現れ、勢いを増している。社会保障の財源や医療資源の不足、日本人の死生観などを根拠に、「生産性」のない生の価値を否定し、改善の見込みのない苦痛を長く味わわせることの非倫理性を説くなど、その事象はさまざまである。本書では、それらをある程度網羅し、さらに過去から現代に至る歴史的経緯を解明する論考が並んでいる。」
(現代書館Webサイト
②ー「1970年代の障害者運動を牽引し、健全者社会に対して「否定されるいのち」から鮮烈な批判を繰り広げた日本脳性マヒ者協会青い芝の会の行動綱領を起草、思想的支柱であった故・横田弘氏の原点的書の復刊。当事者としての覚醒を呼びかけた青い芝の会の「行動綱領」は、脳性マヒ者のみならず多くの障害者、学生運動・労働運動の担い手たちに強烈な印象を与え、浸透した。そのラディカルで端正な言葉は、詩人でありかつ仏教徒である横田氏でなければ書けなかったものと思われる。1970年に起きた母親による障害児殺し事件とその母親に対する減刑嘆願運動への神奈川青い芝の会の告発は、日本の障害権利運動の萌芽として、障害者運動のルポや研究書で言及されている。その多くが横塚晃一氏の『母よ!殺すな』(2007年、生活書院より復刊)に依拠したものだが、本書の復刊により、思想・理論の横田氏と、組織力・行動力の横塚氏の二人の視点から青い芝の運動を再読することが可能となった。本書では、障害者殺し事件の他、72年優生保護法改悪反対闘争、太田典礼の「安楽死」思想の批判、障害者の歴史、青い芝の会「行動綱領」と青い芝の「過激」な闘争(川崎バス闘争、神奈川リハセンターの胎児チェック反対闘争、養護学校義務化阻止闘争)等が網羅され、青い芝の会が最も先鋭的に運動していた時代の貴重な記録である。と同時に、横田氏が問い続けた優生思想、医学モデル、パターナリズムが今なお根強く残っていることから、今こそ著者の思想の源流を辿るべきと思う。」(現代書館Webサイトhttp://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-3542-7.htm
③ー「2016年7月26日未明、神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が死亡、職員2人を含む26人が重軽傷を負った「やまゆり園事件」。犯人は、元職員の植松聖。当時26歳。植松死刑囚はなぜ「障害者は生きるに値しない」という考えを持つようになったのか?「生産性」や「有用性」で人の命を値踏みする「優生思想」は、誰の心の内にも潜んでいるのではないか?
命は本当に「平等」なのか?分断しない社会、真の「共生社会」はどうしたら実現するのか?植松死刑囚との37回の接見ほか、地元紙記者が迷い、悩みながら懸命に取材を続けた4年間のドキュメント。 」(幻冬舎Webサイトhttps://www.gentosha.co.jp/book/b13172.html


書くこと。生きること。:Hiromi's Blog

書くこと。学び、考えること。難病ALSに罹患し、世界や自分のあり様を疑う戦慄の時間。生きた証として書いていきます。 satohiromi.amebaownd.com/