『遺稿集』
『遺稿集』鴨志田穣(2008・講談社)を読む。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000184299
鴨ちゃんの遺稿。
まるで古くからの友人が書いたものを読んでいるような、自分の過去をぼんやり思い返しているような、不思議な読後感。あなたの奥さんの描く漫画で、あなたを知っているような気になっているだけなのかもしれないけれど。
焼鳥屋の煤けたカウンターで、別れを告げに来た旧友と生ビールのジョッキ片手に話し込んでいるような。
病院を抜け出し、朝焼けの空を仰ぎながらジャージのポケットに手を突っ込んで鼻唄まじりに散歩しているような。
悔やんだこと。逃げたこと。大失敗も、幸せを感じた瞬間も。全部が全部、愛おしい。
もう15年になるのか。
あたしも、もうじきいくからな。
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