「ひとりで抱えないで」


「ひとりで抱え込んじゃダメだよ」

私の、大っっっっ嫌いな言葉だ。

抱えたくて抱えている訳ではないもの。
気づいたら、ひとりぼっちで持たされていたもの。
誰かがこの手に押し付けたもの。
捨て去りたいのに、そうはさせてもらえないもの。
手放したいのに、その方法がわからないもの。

それを持つなという、上から目線の雑なアドバイスでしかない。
持たせたのは誰だ? ひとりにさせたのは誰だ?
見当違いのエラそうなダメ出しを、誰が受け入れるもんか、と思う。

疲れ果てうな垂れて、顔を上げる力も失くしてしまった人が、誰かから、この社会から、押し付けられ持たされてしまったもの。それがいったいどんなものであるかを真剣に想像したうえで発言していると誓えるか。

私が手にしているものを、鉛より重く、火よりも熱く、ドロドロに溶け腐臭を放っているこの荷物を、私と共に抱える覚悟があるのか。
リスクも責任も負わない人間が、上から目線で大きなお世話だ。

ひとりで抱えるな、という命令形は、あらゆる意味で間違っている。
もしそこに、掛ける言葉が存在し得るならば、全身全霊、自らの発言に誠実であり続ける覚悟を持ってこう伝えるべきなのではないだろうか。
「あなたのその荷を、私はあなたと分かち合いたい。どうか私にも持たせてくれないか」と。

書くこと。生きること。:Hiromi's Blog

書くこと。学び、考えること。難病ALSに罹患し、世界や自分のあり様を疑う戦慄の時間。生きた証として書いていきます。 satohiromi.amebaownd.com/