さあ、コートを脱いで。お茶はいかが?

誰かを訪ねる
ドアをノックする
名前を名乗る
挨拶をする
家の中に入るよう促される
コートを脱ぐ
用件を伝える
椅子を進められる
腰を下ろす
「お茶はいかが?」

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2月25日(日)、劇団銅鑼『ふしぎな木の実の料理法〜こそあどの森の物語』をシアターグリーンBIG THREE THEATERへ観に行った。原作は人気作家・岡田淳による児童書だ。ふしぎな木の実をめぐる、ふしぎな森の住人たちのお話。
他人とはいつだって、自分を煩わせる存在だ。心をざわつかせ、苛立たせ、心配させ、執着させ、不安にさせ、悲しませ、喜ばせ、ハラハラさせ、恋焦がれさせ、目を離さなくさせる。いつの間にか気になって仕方がなくなってしまう、心のど真ん中にドデンと座り込んで微動だにしない厄介な存在。他人なんていなければいい。この世界に、自分ひとりならどんなに楽だろう。見せたい自分を気取らなくてもいいし、人の評判なんてクヨクヨ気にする必要もない。失敗したって恥ずかしくもなんともないし、ドキドキしながら誰かの家のドアをノックするなんてこと、絶対に絶対にしなくていいんだ。―いや待てよ。もしもこの世界に自分ひとりしかいなかったら、私は私でなくなってしまうのかもしれない。
主人公のスキッパーに、いつかの自分を重ねてみる。コートを脱ぐスキッパー。お茶を勧められるスキッパー。あのとき、私はどうしたんだっけ?
いつかの私に。いつかの誰かに。バーバさんからの滲んで読めなくなった手紙とともに、小包で届けたい物語。(郵便配達員のドーモさん、頼みましたよ)

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劇団銅鑼創立50周年 第2弾 №57「ふしぎな木の実の料理法〜こそあどの森の物語」

http://www.gekidandora.com/titles/fusiginakinomi/

原作:岡田 淳(「ふしぎな木の実の料理法」理論社刊)

脚本:斎藤栄作 演出:大澤 遊
■配信チケット(アーカイブ配信)3月3日(日)10:00〜17日(日)10:00

【あらすじ】
冬のある日のこと――――。
こそあどの森で暮らすスキッパーは、郵便配達員のドーモさんから小包を受け取ります。差出人は南の島へ行ったきりのバーバさん。中には見たことのない木の実が20コほど入っています。手紙を開くと、その料理法が書かれているようですが、悲しいことに、肝心な所が雪で濡れてしまって読めません。仕方なくスキッパーは、その木の実の料理法を教えてもらう為に、これまで殆ど喋ったことのない森の住人を順番に訪ねる事にします。果たしてスキッパーは、うまく料理法を知ることができるのでしょうか?


書くこと。生きること。:Hiromi's Blog

書くこと。学び、考えること。難病ALSに罹患し、世界や自分のあり様を疑う戦慄の時間。生きた証として書いていきます。 satohiromi.amebaownd.com/