Born this way

若い女性の知人が話す。
「『結婚、出産の予定は?』って聞かれるんですよ。採用の面接に行くたびに」
え、令和6年だよ、今。
「今の会社の若い社長にも、面接のとき言われましたよ。産むのならしばらく後にして欲しいって。これまでも、どこに面接に行っても必ず質問されて。なんだかなって」

◎男女雇用機会均等法
(性別を理由とする差別の禁止)
第五条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

自分の人生、どこで子どもを産もうが、結婚しようが、他人の指図なんて一切受けたくない。大きなお世話である。ヤイヤイ言うだけで一切責任をとってくれない他人様は、あなたのことを人として見ていない。シフトの穴を埋めてくれるための存在、子どもを産む人生を捨てた“人材”とかいうロボットでいることを求めているに過ぎない。「子どもは産みません」「仕事を最優先にします」。そんな言葉を無理やり口にさせて、真面目な女性たちを縛り付ける卑劣なやり口だ。
(そして一方で、女性は気が利いて細やかだから人の世話を焼けとか、男性管理職のもとで文句を言わず薄給で働けとか、そんな時ばかり“女性”であることが求められる)

障害のある女性たちが、施設に入る条件として生殖機能を失わせるための手術を施されていた。太古の昔の話なんかじゃない。月経の介助の手間を減らすためだという。ときに騙されて、ときに強引に。楽な障害者は介助者に可愛がられる。親も入所させたい一心で同意する。周囲に都合のよい“入所者“であるためには、女性であることなんて邪魔なだけだ。

そこにある構図は同じだろう。彼女らを利用する者、管理し利益を得る者、「より速く、より多く、より強く」を唱える者にとって、可能な限り都合のよいコマであれ。行き場のない女性たちはその身体と命の中に抱え持つ大事なものを誰かの都合のままに奪われ破壊されて、それぞれの場所へと引き取られてゆく。

この国は何も変わっちゃいない。
女性蔑視が“冗談”で済んでしまう国。セクハラ天国、ルッキズム天国。この国で育つ子ども達が気の毒過ぎる。
もし本気で面接官のヤツらと闘うには、明日からすべての女性が、無知で愚かなアイツらに対してこう答え知らしめてやるしかないのかもしれない。
「男女雇用機会均等法第5条に抵触する質問ですので答えたくありません」と。



書くこと。生きること。:Hiromi's Blog

書くこと。学び、考えること。難病ALSに罹患し、世界や自分のあり様を疑う戦慄の時間。生きた証として書いていきます。 satohiromi.amebaownd.com/