劇団銅鑼『星を追う人 コメットハンター』

劇団銅鑼『星を追う人 コメットハンター』をシアターグリーンBOX in BOX THEATERに観に行く。

上演中。舞台を、客席を、もっと言えば世界中の天文家が人生の友とし伴侶とするのであろう望遠鏡を中心にして、深く静かで美しい星空が何処までも遠く在るように感じる。コメットハンターの話だというのに、いつの間にか私は天動説の人となる。そうか。生まれてから現在までのどの瞬間においても、私は常に満天の星たちに囲まれていたのだった。
時間と空間が終わりなく広がり、自分の居る場所も確かであったはずの記憶も、はたまた自分が何者であるかさえも、悠遠の宇宙の前には瑣末な事のように思えてくる。
ー「随分と早く結論を出すんだね」
いいえ、私は私にとって大切なもののために、何処までもこだわり続け考え続け、そして生き続けてやろうと思います。出来れば、諦めずに。

劇場からの帰り道、思わず空を見上げる。明る過ぎる池袋の夜空に星の姿を見ることは叶わなかったけれど、私は生まれて初めて、そこに在るはずの星空を自然な感覚として信じられた。
さて、自分にとっての望遠鏡とはいったい何であろう。そして、それを用いてこの目に捉えたいものとは何であろうか。
ポケットに手作りの星図をしのばせて、今日も車椅子から大空を仰ごう。


劇団銅鑼『コメットハンター 星を追う人』はシアターグリーンBOX in BOX THEATERにて9/1(日)まで。

書くこと。生きること。:Hiromi's Blog

書くこと。学び、考えること。難病ALSに罹患し、世界や自分のあり様を疑う戦慄の時間。生きた証として書いていきます。 satohiromi.amebaownd.com/