ラストシーン
12月2日放送の『相棒 season19』。脚本に多少無理があったかなあというのとロケが少々雑だったような気がしてあまり集中できなかったのだが、ラストのシーンには驚かされた。
ビルの屋上。杉下右京ら捜査員たちに取り囲まれて、自身の不幸な半生や犯行の動機の正当性を語る犯人。そんな犯人に対して「あなたは大きな思い違いをしている」と言う右京。
「あなたのこれまでの人生は、たとえそれがどんなに苦しく惨めなものであったとしても、あなた自身が選び取った、まぎれもない、あなたの人生ですよ!」
いかにも右京らしいと言えるセリフ。自身のあるべきだった人生を取り戻すために殺人を犯したという自らの告白に、愚かすぎる、と右京から一喝されてしまった犯人は、うなだれてそのまま大人しく捜査一課の刑事らに連行されると思いきや、その手を振り払い、右京らの目の前で、柵を乗り越え屋上から飛び降りてしまう。
捜査員の方を振り向いた犯人の、最後のセリフ。
「みなさん。どうもお騒がせしました。最後くらい自分でケリつけますよ。みなさんはどうぞ、この先も楽しい人生を!!」
そして何とも言えない悲しいような笑みを浮かべ、犯人は飛び降りてしまうのだが、私にとって驚くべきは犯人のこの最後のセリフが、私自身が常に心の中で叫んでいる言葉とまったく同じものである、ということだった。私は犯人が飛び降りてしまったことにも驚いたが、このセリフにも大いに驚かされた。この人は私と同じことを言っている、と思った。飛び降りてしまう前に、この犯人と話したかった、と思った。
目の前でこのセリフを言われた右京は、これから何を思って生きていくのか。
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