読書メモ①
読む。読む。読む。
せっかくなので、読むことをゲームにしてみる。
ルールは簡単。”遊び”としての読書に徹すること。自分の楽しみのためだけに読み、それ以外の目的を持たないこと。「あの作家読んだよ」などとフンフンと鼻を膨らませて誰かに自慢したいための読書は気色悪いので絶対に避けること(自慢したいような相手もいないけれど、油断するとやりかねない)。ジャンルは決めない。多読の励みとするため期間中に読了した本は記録すること。満足してその一冊を読み終えることが出来たら、勝ち。
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読む。読む。読む。
この半月ほどの間に最後まで読み終えたものを下に記す。
個別の感想は面倒なので書かない。そんな暇があったら次を読みたい。ただこの半月を経て感じたことを雑駁に言えば、あああああ死ぬ前に読んでおいてよかったあ危うく読まずに逝っちゃうところだったよとオロオロニヤニヤが止まらない本もあれば、えええええこんなしょもない本が売れてんの?もうやだ時間返してくれよ…こんなもんが評価される世の中なら生き続けてもしょーがないわイライラと、ひとりぼっちの西日の部屋に叫びたくなる、そんな本もあった。
そしてもう一つ、私は”におい”や”温度”の感じられる文章に惹かれて止まないということに気が付いた。汗の、血の、雨の、生ゴミの、黴の、雑草の、みそ汁の、新聞紙の、赤ん坊の、古着の、畳の、図書室の、病院の、煙草の、朝の駅のホームの、機械油の、和箪笥の、整髪料の、インコの、排気ガスの、キンモクセイの、吐瀉物の、糞尿の、死体の―それだ。
人間の全身の毛穴から、体液から、開けっ放しの口の奥から、腋窩から、鳥肌の産毛のその一本一本から、かなしみが、苦しみが、嫉妬が、狡さが、罪悪感が、焦りが、後悔が、無念が、愛おしさが、溢れ、染み出て、垂れ落ちて止まないような、そんな文章を私は読みたい。たとえ人気作家のよく売れた小説であっても、そこに”におい”も”温度”も感じられない作品はいくらでもあって、そんなの私は全然好きじゃない。文学も映画も音楽もそして実際の出来事や人物に対してさえも、自分ばかりが周囲とはまったく異なる印象や感想を抱いてしまうことは今に始まったことではない。はたして人間の、ただの一人も描かれてなんかいないじゃないかと握った拳の震えがおさまらないような、私にとってペラッペラに思える作品でも世間的な評価は存外厚かったりするもので、私にはもう時間も無いことだしこれでもうオシマイなのだから今更世間とのズレなんてクソどーでもいいわいと清々しい思いでめりめりと藪をかき分けて兎に角ずんずんと読み進める。そういえば高校の現代社会の先生が「真理はいつも少数派」って言ってたよなあ、などと懐かしく思い出しながら。
どうかもっと読んでいたいと、もっと生きていたいと、そう思える作品にたくさん出会えますように。
【期間:2020年末~2021/01/15】
①『事件』大岡昇平(創元推理文庫・2017)
②『症例A』多島斗志之(角川文庫・2003)
③『不連続殺人事件』坂口安吾(新潮文庫・2018)
④『肝臓先生』坂口安吾(角川文庫・1997)
⑤『60 誤判対策室』石川智健(講談社文庫・2018)
⑥『看守眼』横山秀夫(新潮文庫・2009)
⑦『許されようとは思いません』芦沢央(新潮文庫・2019)
⑧『悪いものが、来ませんように』芦沢央(角川文庫・2016)
⑨『予告殺人』アガサ・クリスティー(ハヤカワ文庫・2003)
⑩『終わりなき夜に生まれつく』アガサ・クリスティー(ハヤカワ文庫・2011)
⑪『ミス・マープルと十三の謎』アガサ・クリスティー(創元推理文庫・1960)
⑫『自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪」と「罰」』佐藤幹夫(洋泉社・2005)
⑬『すべてがFになる』森博嗣(講談社文庫・1998)
⑭『未確認尾行物体』島田雅彦(文春文庫・1993)
⑮『満願』米澤穂信(新潮文庫・2017)
①⑧⑩⑮―いい。④―表題作。
♪BGM:戦え!何を!?人生を!(筋肉少女帯)
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