読書メモ⑧
『敗北を抱きしめて』を読む。私の祖父は昭和 19 年に硫黄島近海で戦死している。私は祖父を知らないが、妻と二人の幼子を残し日本兵として海に死んでしまった祖父を、私はどう悼み、その死をどう悲しんだらいいのか、心に暗い靄の垂れこめたままである。敗北の日本に、虚無と怒りと悲しみと口惜しさと解放感と、いや、こんな陳腐な言葉では言い尽くせないいったいどれだけの感情が混じり合い爆発して、溶けていったであろう。
敗戦も戦後も知らず若くして戦死してしまった祖父に、令和を生きる病身の孫娘が掛けられる言葉はあるのだろうか。
【期間:2021/04/16~2021/04/30】
①『詩集 うつむく青年』谷川俊太郎(サンリオ・1989)
②『敗北を抱きしめて(上)』ジョン・ダワー 訳・三浦洋一・高杉忠明(岩波書店・2001)
③『敗北を抱きしめて(下)』ジョン・ダワー 訳・三浦洋一・高杉忠明・田代泰子(岩波書店・2001)
④『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実―』吉田裕(中公新書・2017)
⑤『砕かれた神』渡辺清(岩波現代文庫・2004)
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