無題20220323
死ぬ、の反対は、生きる、じゃなくて、生まれる、だとわたしは思うんだ。
人の意志だとか権利だとか自由だとか、そんなものがまったく手の届かない、そんな果てしない領域の話。とてつもなく大きな偶然や自然の下に、わたしは〈このわたし〉として生まれ落ちる。
この世界のそれぞれの〈このわたし〉のいのちが、偶然にも間違いなく互いにそこにあるということの不思議に、力強くもあまりに儚い、ひとつひとつのいのちのそのかけがえがないことに、わたしは思わず立ち尽くす。
一人ひとりがそれぞれの〈このわたし〉であること。そしてその誰もが誰とも同じ〈このわたし〉ではないということ。「わたしが〈このわたし〉であること」の偶然の下、「わたしは〈このわたし〉以外の誰でもない」という共通点で、わたしは〈このわたし〉ではないすべての人と繋がっている。
すべての人が偶然にもかけがえのない〈このわたし〉であること。すべての〈このわたし〉といういのちが、生まれ、生きていることそのものが、それ自体あまりにも尊く愛おしい。
苦しいけれど、怖いけれど、今日もわたしは〈このわたし〉を生きる。
かけがえのない大切なあなたが、あなたという〈このわたし〉に生まれ、明日もあなたという〈このわたし〉を生きるように。
0コメント