読書メモ(45)

【期間:2022/11/01〜2022/11/15】
①『黄禍論 百年の系譜』廣部泉(講談社選書メチエ・2020)
②『永井荷風ーその反抗と復讐ー』紀田順一郎(リブロポート・1990)
③『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴッドシャル(東洋経済・2022)
④『天皇の逝く国で』ノーマ・フィールド 訳・大島かおり(みすず書房・1994)


①ー「アメリカが取り憑かれ続けてきた強迫観念―「アジア人が攻めてくる!」/中国が日本と結び、西洋世界へと牙を剥く。驚異的な人口のパワーに、欧米は飲み込まれてしまう……/こうした「黄色い禍」という強迫的観念は、日露戦争で日本がロシアに勝利したことをきっかけに生まれた。そしてこの「人種主義的思考」は、西海岸に多くの日系移民が押し寄せたアメリカにおいてはとりわけ強く刻まれ、形を変えながら現在に至るまで、社会・政治のなかに脈々と息づき続けている。/「我々は白人種と交わることのない人々から同質な人々を作り出すことはできない」―ウィルソン(第28代米大統領・国際連盟提唱者)が署名したアジア人移民排斥を訴える文書/「黒人はアフリカに、黄色人はアジアに、そして白人はヨーロッパとアメリカにいるべきだと強く思うんだ」―トルーマン(第33代米大統領)が妻に送ったラブレター/コロナ禍によって黄禍論的思考はいまだ欧米社会に根を張っていることが明らかとなり、アメリカでは人種をめぐる対立がいまもってなお深刻であることが露となったいま、トランプ大統領を生み出したアメリカ社会に100年以上根づく「人種主義的思考」の歴史をひもとかなければならない。」(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000344884
②ー「荷風は歩いた。やすまず歩いた、東京を江戸を。散策し、探索し、観察し-。歩く荷風、追う紀田順一郎。やがて後姿に問いかける「あなたは何故歩くのか?」荷風研究に新しい一頁を加える力作。」(https://calil.jp/book/484570482X
③ー「なぜ私たちはあの人の論破にだまされるのか。/事実と物語は混ぜるな危険!/陰謀論とフェイクが溢れる世界で生き抜く「武器としての思考法」。/文明を築くのに一役を買ったストーリーテリング。その伝統あるストーリーテリングが近い将来文明を破壊するかもしれない。ストーリーテリングアニマルである私たち人間の文明にとって、ストーリーは必要不可欠な道具であり、数え切れない書物がストーリーの長所を賛美する。ところが本書の著者ジョナサン・ゴットシャルは、ストーリーテリングにはもはや無視できない悪しき側面があると主張する。主人公と主人公に対立する存在、善と悪という対立を描きがちなストーリー。短絡な合理的思考を促しがちなストーリー。社会が成功するか失敗するかはそうしたストーリーの悪しき側面をどう扱うかにかかっている。陰謀論、フェイクニュースなど、SNSのような新しいテクノロジーがストーリーを拡散させ、事実と作り話を区別することはほとんど不可能になった。人間にとって大切な財産であるストーリーが最大の脅威でもあるのはなぜなのか、著者は説得力をもって明らかにする。/「ストーリーで世界を変えるにはどうしたらいいか」という問いかけをやめ、「ストーリーから世界を救うにはどうしたらいいか」と問いかける書。」
④ー「米軍占領下の東京に育った混血女性が、自己の歴史と、三人の日本人を描く“もう一つの戦後史”。/著者は、昭和天皇の病いと死という歴史的な瞬間に東京にいた。そして天皇の病状が刻々報道され、自粛騒ぎが起こるなかで、日本人の行動様式と心性、そしてそこにさまざまな形で顕在化したあまたの問題に想いを巡らせた。登場人物は、“体制順応という常識”に逆らったために、ある日突然“ふつうの人”でなくなってしまった三人―、沖縄国体で「日の丸」を焼いた知花昌一、殉職自衛隊員の夫の護国神社合祀に抗した中谷康子、天皇の戦争責任発言で狙撃された本島長崎市長と、もう一組、著者自身とその家族である。かれらの市民生活の日常にそって、問題は具体的に考えられる。著者が、みずからの個人史に重ねて描いた現代日本の物語。」(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784622036470(増補版:https://www.msz.co.jp/book/detail/08343/

書くこと。生きること。:Hiromi's Blog

書くこと。学び、考えること。難病ALSに罹患し、世界や自分のあり様を疑う戦慄の時間。生きた証として書いていきます。 satohiromi.amebaownd.com/