公園のレストランにて
「ママー、となりのひと、おとななのに、こどものフォークでたべてるよー」
「……」
「ねえ、ママー!あのひと、おとななのに、こどものフォークつかってる!」
「……」
「ねえ、ママってばー!」
「……」
「あのね、わたしはね、てがじょうずにうごかなくて、おとなのフォークはもてないんだよ。だから、こういうフォークをつかってたべているんだよ」
「……」
「……」
お母さん、聞こえないふりをしないでください。お子さんの声も。私の声も。
見てはいけない人、触れてはいけない人、関わることを避けねばならない人が存在するなんていうことを、小さな子どもの心に刷り込まないでください。
ーーうちの子が、あなたの使っているフォークについて聞きたいことがあるそうです。質問をさせてもいいですか?
そうお尋ねくだされば、私は大喜びでお子さんとお話ししましょう。
世の中には、手が不自由な人、体が思うように動かせない人が大勢いるということを。あなたが想像もしないやり方でナポリタンを食べ、あなたと違うやり方で公園を散歩する人が、あなたのすぐ近くに、あなたと同じように笑ったり泣いたり怒ったり喜んだりしながら生きているということを。そして、あなたはあなたの不思議に思うことをママにだって私にだって質問して良いし、私はあなたとお話ししたいと思っているということを。
向こうの道の曲がり角に、十月桜が小さく咲いていました。
少し冷えてきましたね。風邪をひかないように、気を付けて。
0コメント