念願の。
展示の一つひとつに、声にならない独り言を繰り返す。ああ私は一体何をしているんだと首から上の血が熱くなるのを感じる。今からでも、と、背筋が伸びる。私なぞが何をわかったようなことをほざこうと、圧倒的史実の前にそんなものは寝言以下じゃないかと、息が詰まり呼吸が苦しくなってくる。思うこと、考えることが多過ぎて、とても一度訪れたくらいでは受け止めきれない。
帰りがけ、受付カウンターにあった図録やら冊子やらをあれこれと買い求めたところ、係の女性に「お好きなら」と<吉村昭記念文学館友の会>への入会を勧められる。図録等の代金は入会金とちょうど同じくらいで、入会特典として会員証などと共に図録も貰えるらしい。ええ、お好きなんですよ、と心の中でつぶやきながらその場で入会することにする。申込用紙に慎重に名前と住所を記入する。「50代」の欄に初めて丸をつけた。50になって、ファンクラブに入会するとは思わなかった。
もう一度読もう。ちゃんと生きよう。
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