読書メモ③
<吉村昭文学記念館>詣でのために何冊か読み返す。20年ぶりくらいだろうか。いずれも読後は小説舞台の地に一人取り残されたような気分になり自室のこの狭いベッドへなかなか戻ってこられない。カズオ・イシグロはもうあと何冊か読むことに決めた。本屋大賞はもうあまり信じないことにする。
生き終えるその時まであとどれくらい私は言葉の底無し沼の底深くカラッポの頭を抱え溺れていられるのだろう。
【期間:2021/02/01~2021/02/14】
①『光る壁画』吉村昭(新潮文庫・1984)
②『戦艦武蔵』吉村昭(新潮文庫・1971)
③『仮釈放』吉村昭(新潮文庫・1995)
④『大本営が震えた日』吉村昭(新潮文庫・1981)
⑤『羆嵐』吉村昭(新潮文庫・1982)
⑥『深海の使者』吉村昭(文春文庫・2011)
⑦『最悪』奥田英朗(講談社文庫・2002)
⑧『邪魔(上)』奥田英朗(講談社文庫・2004)
⑨『邪魔(下)』奥田英朗(講談社文庫・2004)
⑩『明治天皇を語る』ドナルド・キーン(新潮新書・2003)
⑪『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ 訳・土屋政雄(ハヤカワepi文庫・2008)
⑫『舟を編む』三浦しおん(光文社文庫・2015)
②④⑥―自分の中に描いていたあの時代を、人間という生き物を、幾度も修正し考え直しながら読む。私はこれからも読み続ける。
⑤―血と肉と獣の匂い。この人の書く寒さよ。
⑦―この世はあまりにも理不尽で、人は弱く、狡く、卑しく、どうしようもなく、たまに愛おしい。
⑧⑨―切なさと不思議な疾走感。
⑪―とんでもないものを読んでしまった。これから先、私は幾度でもこの作品を記憶の倉庫から引っ張り出しこねくり回して溜め息を吐こう。
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