Once upon a time in …


一年前と今。十年前と今。世の中はどんな風に変わっただろう。例えばSNSや電子決済、スマートフォンの普及など、私たちの暮らしは少しずつ変化してはいるが、着るものも食べるものも街の風景も、そして人の考え方も、さほど変化したという感覚を私は持たない。

200年前の日本を思う。私は今と同じ人の暮らしを、そこに見ることが出来るだろうか。もちろん変わらないものも沢山あるだろう。人情だとか愛情だとか欲望だとか美意識だとか差別感情だとか。しかし圧倒的に、変わった。住む家も働く場所も移動や通信の手段も教育制度も科学技術も医療も経済も産業も、そして街の風景も人の考え方も、この200年で、大きく大きく、変わった。

一年前から今。この一年という時間を200回繰り返したら、200年前から今への変化となった。いや、この一年、何が変わった?こんな時間をたかだか200回繰り返しただけで、こんなに何もかもが、変わってしまうのだろうか。200年前の人の暮らし。「家」や社会、自分の人生や、死生観や宗教観や倫理や道徳。自分の生きる場所や、社会や世界というものの捉え方。自分の意志は誰の意志か?自分の命は誰のものか?今私たち誰もが、生まれながらに当然に自分に備わっているはずだと考える、自由だとか権利だとか平等だとかいうものなんて、ついこの間、確かめられ獲得され教えられて、今日に至っているのだと考える。善も悪も正義も不義も、私たち自身のありようですら、確からしいことなんて何一つないんじゃないか。そんなことを思って、私の身体は動かないままふわりと宙に浮き、その輪郭を曖昧にする。


今を相対化する。今は絶対でも当然でも必然でもない。今をどう捉え、考えるか。

私たちはいったい、どんな世界に生きたいのだろうか。



書くこと。生きること。:Hiromi's Blog

書くこと。学び、考えること。難病ALSに罹患し、世界や自分のあり様を疑う戦慄の時間。生きた証として書いていきます。 satohiromi.amebaownd.com/