もしもしの話

もしわたしが、病気になっていなかったら。
そんなことを考えると、わたしはゾッとします。
病気になる前のわたしより、わたしは今のわたしの方が好きだからです。

「それでも、病気にならない身体の方がいいでしょう?」
それは当然です。病気はとてもとても辛い。
でも、病気と引き換えに、わたしは今のわたしを手に入れました。
病気にならないまま、わたしは、今のわたしになることは出来ません。
なぜなら、心と身体は不可分だからです。
たとえどれだけ学んだとしても、たとえどれだけ想像したとしても、【病気にならないわたし】には、【病気になってこうして生きているわたし】の気持ちはわからない。今わたしが感じ考えているものを手に入れることは絶対にできない。絶対に。

代償は大きいものですが、とりあえず今は、こうして手に握っているものを愉しみながら、あの頃よりいくぶんか好きになれたわたしのことを抱きしめて生きていきましょう。

淹れてもらったコーヒーは、美味しいな。


書くこと。生きること。:Hiromi's Blog

書くこと。学び、考えること。難病ALSに罹患し、世界や自分のあり様を疑う戦慄の時間。生きた証として書いていきます。 satohiromi.amebaownd.com/