読書メモ(35)
彼らに巡り逢えた幸運に感謝し、まだ出逢えずにいる彼らを想像して愕然とする。
あと何冊、読めるのだろう。
【期間:2022/06/01~2022/06/15】
①『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド 訳・谷崎由依(ハヤカワepi文庫・2020)
②『ある奴隷少女に起こった出来事』ハリエット・アン・ジェイコブス 訳・堀越ゆき(新潮文庫・2017)
③『アーロン収容所 西欧ヒューマニズムの限界 改版』会田雄次(中公新書・1962・改訂版2018)
④『専門知は、もういらないのか 無知礼賛と民主主義 THE DEATH OF EXPERTISE』トム・ニコルズ 訳・高里ひろ(みすず書房・2019)
⑤『JR上野駅公園口』柳美里(河出書房・2017)
①ー「19世紀、アメリカ。南部の農園で過酷な生活を送る奴隷の少女コーラは、新入りの少年シーザーから奴隷を逃す“地下鉄道”の話を聞き、ともに逃亡を決意する。冷酷な奴隷狩り人リッジウェイに追われながらも、コーラは地下をひそかに走る鉄道に乗り、さまざまな州をわたり、人に助けられ、また裏切りながら、自由が待つという北をめざす。ピュリッツァー賞、全米図書賞、 アーサー・C・クラーク賞受賞。」(https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014654/pc_detail/)
②ー「好色な医師フリントの奴隷となった美少女、リンダ。卑劣な虐待に苦しむ彼女は決意した。自由を掴むため、他の白人男性の子を身籠ることを――。奴隷制の真実を知的な文章で綴った本書は、小説と誤認され一度は忘れ去られる。しかし126年後、実話と証明されるやいなや米国でベストセラーに。人間の残虐性に不屈の精神で抗い続け、現代を遥かに凌ぐ〈格差〉の闇を打ち破った究極の魂の物語。」(https://www.shinchosha.co.jp/book/220111/)
③―「英軍は、なぜ日本軍捕虜に家畜同様の食物を与えて平然としていられるのか。女性兵士は、なぜ捕虜の面前で全裸のまま平然としていられるのか。ビルマ英軍収容所に強制労働の日々を送った歴史家の鋭利な筆はたえず読者を驚かせ、微苦笑させつつ西欧という怪物の正体を暴露してゆく。激しい怒りとユーモアの見事な結合がここにある。強烈な事実のもつ説得力の前に、私たちの西欧観は再出発を余儀なくされるだろう。」(https://www.chuko.co.jp/shinsho/2018/01/180003.html)
④―「20世紀初頭まで、政治や知的活動への参加は一部の特権階級に限られていたが、後の社会変化で門戸は大きく開かれた。それは人びとのリテラシーを高め、新たな啓蒙の時代を招来するはずだった。ところが今、これほど多くの人が、これほど大量の知識へのアクセスをもちながら、あまり学ぼうとせず、各分野で専門家が蓄積してきた専門知を尊重しない時代を迎えている。ゆがんだ平等意識。民主主義のはき違え。自分の願望や信念に沿う情報だけを集める「確証バイアス」。都合の悪い事実をフェイクと呼び、ネット検索に基づく主張と専門家の見識を同じ土俵に乗せる。何もかも意見の違いですますことはできない、正しいこともあれば間違ったこともあるという反論には、「非民主的なエリート主義」の烙印を押す。これでは、正しい情報に基づいた議論で合意を形成することは難しく、民主主義による政治も機能しない。原因はインターネット、エンターテイメントと化したニュース報道、お客さま本位の大学教育。無知を恥じない態度は、トランプ大統領やブレグジットに見るように、事実ではなく「感情」に訴えるポピュリズム政治の培養土となっている。または逆に、知識をもつ専門家による支配、テクノクラシーを招く恐れもある。本書が考察しているアメリカの状況は対岸の火事ではない。専門知を上手く活かして、よりよい市民社会をつくるための一冊。」(https://www.msz.co.jp/book/detail/08816/)
⑤―「一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた――東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上野駅に降り立った男の壮絶な生涯を通じ描かれる、日本の光と闇……居場所を失くしたすべての人へ贈る物語。全米図書賞・翻訳文学部門受賞作。」(https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309415086/)
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