勿忘
わたしは忘れない。
振り返られず
検証されず
糺されず
裁かれず
殊更に
恣意的に
誰かの都合のままに
飾り立てられて
空気と
気分と
情緒と
高揚感と
大きなものの一部であるという愉悦の中で
いともあっけなく
忘れられ
有耶無耶にされ
不問に付され
なかったことにされてしまったことを。
見ようとせず
知ろうとせず
考えようとしないままに
すべてを許し
すべてを任せ
すべてを委ねて
このままでいいのか?
手放していいのか?
繰り返させていいのか?
追い詰められ路上で俯きしゃがみ込んでしまった人たちのことを
明日の米もなくそれでも自らを責め心折れてしまった人たちのことを
人を正義を信じられず絶望の中で命を絶ってしまった人たちのことを
この国で生きてゆくということに何の希望も見出せなくなってしまったすべての人たちのことを
わたしは、絶対になかったことにさせはしない。
記憶にとどめよう。
何が起きていたのかを
何が起きたのかを
何が起きようとしているのかを
わたしたちは、何をしようとしてしまっているのかを
わたしは覚えていよう。
未来を諦めないために。
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